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Column 48

コロナ収束後のソフトウェア検証業務の働き方

2023年、新型コロナウイルスが5類に認定され、検証の現場にも働き方に変化が出てきました。
本コラムでは、コロナ前後のソフトウェア検証業務の働き方に関して記述していきます。

1.コロナ禍における検証実施状況

①ソフトウェア検証業務のテレワーク率

■国土交通省が行った「令和2年度 テレワーク人口実態調査」による業種別導入率

出典:国土交通省「令和2年度テレワーク人口実態調査-調査結果」
出典:国土交通省「令和2年度テレワーク人口実態調査-調査結果」

■テレワークができない職種一覧

職種(業務) テレワークできない理由
飲食業 飲食に伴う商品を提供する店舗で働く必要があるため
宿泊業 宿泊施設に出勤して業務を行う必要があるため
医療・介護・福祉 対象者がいる場所に出向く必要があるため
娯楽業 娯楽施設やテレビ局等に出勤する必要があるため
理美容業 備わった設備を使って業務を行う必要があるため
冠婚葬祭業 式場に出向く必要があるため
小売業 実店舗での接客・会計業務が必要なため
農林水産業 畑や海上など特定の場所で業務を行う必要があるため
公務員 窓口業務や消防・警察は現地に出向く必要があるため
建設業 現場作業員・現場監督は現地で業務を行う必要があるため
学校の教員 オンラインでは実施不可能な、現場対応が必要な業務があるため
製造業 特殊な機器がある工場等でしか行えない業務があるため
不動産業 取扱物件がある場所まで出向く必要があるため
警備・ビル管理・清掃 現地で業務を行う必要があるため

■テレワークができる職種一覧

職種(業務) テレワークできる理由
情報通信業 環境が揃えばテレワーク可能
金融・保険業 融資担当、コールセンター業務のテレワーク導入が可能
IT系技術職 オンラインで業務が完結するエンジニアやプログラマーは可能
企画マーケティング職 現場に行く必要がない業務が多いので可能
Web系クリエイティブ職 環境が揃えばテレワーク可能
コンサルタント職 オンラインで顧客やメンバーに連絡すれば可能
研究職 実験以外の調査や計画立案はテレワークでも可能
管理職 遠隔でも部下のマネジメントが可能
営業職 訪問以外の業務はテレワーク可能
事務職 環境が揃えばテレワーク可能

上記資料において、ソフトウェア検証は大きな分類では「テレワークができる職種」内に含まれると思われがちですが、検証対象により「テレワークができない職種」に含まれることが多くあります。
主な理由としては、「テレワークができない職種」の「製造業」と同様、「特殊な機器がある工場等でしか業務が行えない」ことが理由となっています。

②テレワークができない検証業務への対応

テレワークができない検証業務におけるコロナ禍での対応を調査してみました。

  • セキュリティや対象物の破損などの問題で持ち帰り不可能な機材の関係上、在宅での検証は行えず、出社対応した。
  • 検証機材の準備のみで出社対応し、在宅でのリモートデスクトップで検証実行・確認を行った。
  • 検証実行は出社対応し、ログなどの確認は在宅で実施した。
  • 出社対応人数の制限を行い、実行者=出社、確認者=在宅で対応した。

③ 在宅検証の問題点

在宅での検証における問題点は以下のとおりです。

  • 突発的なソフト改修などの確認が、即時対応できない。
  • 事前準備の失敗や接続不良などがあった場合、機材が動作せず検証がストップする。
  • 検証の前倒し終了や項目の切り替えが発生し、設定変更が必要な場合に即時対応ができない。

上記などの問題により、検証実行が遅延し計画に影響が出ることもあります。

2.コロナ収束後のソフトウェア検証実施状況

コロナ収束後の2024年5月現在、コロナ禍でテレワークができないとされていた業種においては、コロナ以前と比べて以下働き方の違いが出てきています。

  • 基本的には出社対応となっているが、検証実行は出社対応、ソフト開発・管理業務は在宅対応でも可能。
  • 在宅で対応可能な検証実行のノウハウも継続して、在宅での対応も行っている。
  • 打ち合わせや不具合対応などの各担当部署への関りは、対面ではなくリモートで適宜対応している。

3.まとめ

新型コロナウイルスという未知の脅威に直面し、日常面、仕事面でも多くのアイデアと技術を使用し、改革を行ってきた経験を得て、現在、新たに発見した働き方を融合させていく段階となっています。
テレワークも認知され、今まで当たり前だった通勤などの時間と経費の無駄にも気づいた時代となり、以下のような手当も導入されています。

■テレワーク手当(在宅勤務手当)
「現金支給」と「現物支給」の2種類があります。テレワーク導入時に初期費用として一括支給されたり、毎月一定額が給与と共に支払われるなど、支給方法は企業によって様々です。

    現金支給の相場は3,000円~5,000円/月と言われています。
  • 現金支給の例
    大手ITベンダは2020年7月から通勤定期代の支給を廃止し、在宅勤務手当月額5,000円の支給を始めました。デジタルコンテンツ運営企業の場合は雇用形態にかかわらず「500円×出勤日数分」を半年ごとに支給、大手EC企業は60,000円(半年分)がテレワーク手当として支給されます。
  • 現物支給の例
    パソコンやスマートフォン、ルーター、セキュリティソフト、カメラ、マイクなど、テレワークで必要な機材を会社から現物を貸与する方法。
    社員個人が所有するPCなどを利用する方法を「BYOD(Bring Your Own Device)」といいますが、その場合、購入費の一部を補助する例もあります。

テレワークができない検証業務においても、新たに発見した良い点は継続し、今後、通常業務形態として取り入れていくことができればと感じています。
新型コロナウイルスのように、未曾有な出来事や、予期せぬ災害などに直面した時に、人々の生活や働き方は変化していくものであることは歴史が証明しています。 コロナ禍を体験した私達も、歴史を作っていった張本人であることを意識し、働き方改善をしていければと思います。

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