RPAを考える
昨今はDX推進があちらこちらで話題となり、その一部分を担うRPAという単語も見聞きする機会が増えてきています。しかし、RPAという言葉が具体的に何を指すのか、はたまた導入するとなったとき何から始めるのか、 ここが明確に言語化できる方は意外と少数なのではないかと思います。この記事を通して、少しでもRPAの雰囲気が掴めたと思っていただけたら幸いです。
1.RPAを知ろう
導入の話に入る前にまずは「RPAとは何か」を明らかにしておきましょう。
①RPAとは
RPAはRobotic Process Automationの略です。一言で言ってしまえば、「これまで人間が行ってきた定型的なパソコン操作をソフトウェアのロボットにより自動化するもの」です。 ソフトウェアさえ正常に動くものであれば、業務を高速かつ正確に行うことが可能になります。単純なRPAであれば以下のような業務に適しています。
・処理ルールが明確で、人間の判断や介入の必要が少ない業務
・同じ作業内容を大量に反復して繰り返す業務
・データ照合や手作業による人的ミスの影響が大きい業務
・複数のアプリケーションやソフトにまたがって検索、複製、入力、確認などを行う業務
②レベル別RPA
一言にRPAと言っても、3段階の自動化レベルがあるとされています。
RPAのクラス | 主な業務範囲 | 具体的な作業範囲や利用技術 |
---|---|---|
クラス1 RPA (Robotic Process Automation) |
定型業務の自動化 | ・情報取得や入力作業、検証作業などの定型的な作業 |
クラス2 EPA (Enhanced Process Automation) |
一部非定型業務の自動化 |
・RPAとAIの技術を用いることにより非定型作業の自動化 ・自然言語解析、画像解析、音声解析、マシーンラーニングの技術の搭載 ・非構造化データの読み取りや、知識ベースの活用も可能 |
クラス3 CA (Cognitive Automation) |
高度な自律化 |
・プロセスの分析や改善、意思決定までを自ら自動化するとともに、意思決定 ・ディープラーニングや自然言語処理 |
①で挙げたような業務の効率化はクラス1に分類されます。クラス2・3になってくるとAI技術による業務支援が重要な要素となり、非定型的な業務を自動化する、果ては意思決定プロセスまでを自動化するといったことに対応するレベルとなります。 RPAにとって、AIの進歩、ソフトウェアが十分に動作するハードウェア側の進歩は切っても切り離せない要素と言えるでしょう。
2.RPAの導入効果は?
RPA導入の恩恵は、主に以下が挙げられます。
1.常に速く、かつ正確に
ソフトウェアの実行で業務が実施されるので、人間が手動で行うときと比べミスがなく、処理は遥かに速いです。
また、早朝、夜間、休日に動作させ続けることも可能なため、定型的業務であれば時間を問わず人間の労働力の代替となるという点で、働き方改革の推進にもなり得るでしょう。
2.業務内容の見える化
RPA導入に際して既存業務を整理し、自動化方策を練る段階があります。この工程を踏むことにより業務改善点や属人化業務が可視化できるという副次的な効果が見込めます。
3.コア業務の推進
定型業務に従事する人員を低減し、試行錯誤を必要とする他業務への人員の充当が可能となります。
こういったRPA導入による効果を実際に計測し、意味のある数字として説明可能にすることも重要になります。説得力のある数字によって、1つの業務のRPA化を皮切りとし、さらなるRPA促進へとつなげられるでしょう。
3.RPAの導入を考える
おおよそ一般的な導入の流れは「業務の洗い出し → RPA化する業務の選別 → 実現するための技術、ツール選定 → 導入」です。しかし断念理由として「評価が十分に行えず本格導入の判断ができなかった」、
「そもそも自動化できる業務が少ない」、「技術的に難解な部分や、紙媒体から電子媒体へ移行しないと自動化が不可能な業務がある」などが挙げられることもしばしばあります。
よって、初めから大規模な業務改善を目標にしたり、洗い出しや分析が十分でないまま進めたり、上層部の関心や理解度が低い状態が続いたりといったことを防ぐためにも、
まずは手近な業務で冒頭に述べたフローに沿って進めてみるのがよいでしょう。洗い出しや分析のノウハウを蓄積しつつ、無料で使えるツールで試験的に導入し、
評価による効果検証まで行うことで周囲の関係者を納得させるところまでをゴールとしてみてはいかがでしょうか。
4. まとめ
この記事を通して、読む前よりもRPAに興味が持てたと思ってもらえることを願っております。
「似たような業務を日々やっているな」と少しでも思ったそのとき、「ソフトウェアで解決できないか?」という問いを持ってみることがRPAの第一歩となることでしょう。