COLUMN
コラム
Column 40

スーパーアプリとは

人々にスマートフォンが普及し、「アプリ」という単語も身近な存在になりました。
しかし、近頃は「スーパーアプリ」という単語も登場し、このスーパーアプリは検証業界ともすでに密接な関係にあります。
名前からして、「スーパー」というと「すごい、特別な」という予想はなんとなくつくかと思いますが、今回はこのスーパーアプリが一体何なのか迫っていきます。

1.スーパーアプリとは

スーパーアプリとは、1つのアプリ内で複数の機能やサービスを提供するアプリのことを指します。
つまり、普通であれば1つの独立した存在になるようなアプリが群を成す統合プラットフォームが、アプリという形に落とし込まれているということです。
普段から私たちはスマートフォンアプリを使って以下のような様々なサービスを利用しています。

 ・メッセンジャー
 ・SNS
 ・インターネット通販(EC)
 ・フードデリバリー
 ・送金、振替などの決済サービス
 ・タクシーなどの交通機関予約
 ・イベントなどのチケット予約
 ・音楽
 ・ゲーム
 ・地図

①従来のアプリを利用したユーザー体験

PCやスマートフォンでのアプリ利用は、それぞれのサービスが独立しており、スムーズなユーザー体験をできないことが課題でした。
例えば、スマートフォンユーザーが興味を持った美術展に行くためには、以下の3ステップの操作を行うのが一般的です。

 1.メッセンジャー
 2.SNS
 3.インターネット通販(EC)

異なるサイト (アプリ) を3つも経由する必要があり、この過程はユーザーにとっては煩わしく、スムーズなユーザー体験とは程遠い印象です。

②スーパーアプリを利用したユーザー体験

スーパーアプリは、ユーザーが複数のアプリケーションをダウンロードや操作をする必要がなく、1つのアプリで多様なサービスを利用できます。
Aというスーパーアプリを起動し、そこでイベントの情報を検索し、イベントのチケットおよび、交通機関のチケットも購入可能なので、ユーザーにとってスムーズなユーザー体験を提供できます。

また、複数の機能を提供することで、顧客の利用頻度を増やし、顧客ロイヤルティの向上につながることも期待されています。

2.スーパーアプリのメリット

スーパーアプリのメリットは以下のようになります。

・顧客ロイヤルティの向上:
スーパーアプリは、複数の機能を提供することで、ユーザーの利用頻度を増やし、長期的な顧客ロイヤルティの向上につながります。 また、多様な機能を提供することで、ユーザーはスーパーアプリを必要不可欠な存在として認識し、他のアプリに切り替えることを躊躇するようになります。

・収益の増加:
スーパーアプリは、複数の機能を提供することで、ユーザーから複数の収益源を得ることができます。例えば、電子決済やライドシェアなどのサービスで手数料を得ることができます。 また、ユーザーによるデータ収集や広告掲載などのビジネスモデルを組み合わせることも可能です。

・事業の拡大:
スーパーアプリは、複数の機能を提供することで、新たな事業に進出することができます。 例えば、フードデリバリーから飲食店の運営に進出することができます。また、スーパーアプリを通じて複数の事業を展開することで、シナジー効果が期待できます。

これらのメリットから、スーパーアプリはビジネスにとって非常に有用な戦略となります。

3.代表的なスーパーアプリ

代表的なスーパーアプリには、以下のようなものがあります。

・WeChat (中国):メッセージング/タイムライン投稿/ライブ配信/ライブコマース/タクシー配車/マッチング/広告配信決済など
・Paytm (インド):決済/金融サービス/フードデリバリー/ECなど
・Grab (東南アジア):配車/フードデリバリー/レンタカーやホテルの予約/各種チケットの予約/映像配信/公共料金の支払い
・LINE (日本):メッセージング/ニュース/音楽/マンガ配信/ライブ配信/広告配信/ブログ/決済/EC/金融サービスなど
・PayPay (日本):決済/EC/金融サービスなど

近年では、世界的なテック企業もスーパーアプリの提供を強化しており、例えばFacebookはMessengerやWhatsAppを統合し、スーパーアプリ化を進めています。

世界はスーパーアプリ化の方向に進んでいますが、現状、国境を越えてシェア独占しているアプリはありません。
メッセンジャーアプリの分野、電子マネー分野でシェア率の高いアプリはありますが、それぞれの得意分野にとどまっている状態です。 スーパーアプリとして圧倒的な強さを持つアプリはまだ現れていないため、今後、シェア争いはますます激化していくでしょう。

4.まとめ

シェア争いが激化していくということは、検証業界もスーパーアプリを検証対象として取り扱うことも多くなることでしょう。
また、1つのアプリが様々な機能を有しているということは、開発が難航し潜在的なバグを抱えたまま検証リリースされるということも考えられます。
従来のアプリ検証とは異なる視点での検証をするためにも、すでに市場に存在するスーパーアプリに実際に触れ、スーパーアプリに対する理解を深めることも大切なことかもしれません。

ページトップへ戻る