品質が良いとは
ものづくりにおいて、品質の良し悪しは重要事項です。今回は、「品質が良い」ものとはどういうものか、また品質と検証の繋がりについてご紹介します。
1.「品質が良い」とは
「品質が良い」とはどういった状態を指すのでしょうか。例えば、フィリップ B.クロスビー氏は「品質とは要求条件の一致である」としています。一方でG.M.ワインバーグ氏は「品質は誰かにとっての価値である」と語っています。これらをまとめると、「品質が良い」とは「顧客の要求を満たし、顧客にとっての価値となるものを提供する」ことであると言えます。
このように「品質が良い」とは言葉の定義では曖昧で、人によってとらえ方は様々です。
①品質の尺度
品質の良し悪しは様々ですが、一定の尺度は存在します。一例として、狩野モデルが挙げられます。このモデルでは、顧客が製品やサービスに対して要求する品質を下記5つの品質要素に分類が可能です。
・当たり前品質
:あって当然、ないと不満
・一元的品質
:あって満足、ないと不満
・魅力的品質
:あったらうれしい、なくてもしょうがない
・無関心品質
:あってもなくてもどちらでも
・逆品質
:あると不満、なくて満足
この5つのどの品質要素に該当するかで顧客にとっての満足度にどの程度影響を与えるのか計ることができるでしょう。
②品質の指標
続いて、尺度に対して計画段階で想定していた品質を満たしているとは、どういった「状態」であるかを定義する必要があります。これを品質指標といいます。品質指標を定めることで、「顧客の要求を満たし、顧客にとっての価値となるものを提供する」ことが可能となります。そのため、できる限り具体的な状態の定義が必要となります。
例えば、Web検索の品質として「Web検索で検索ボタンを押下した時、すぐに遷移画面が表示される」と定義したとします。「すぐに」とはどの程度を指すでしょうか。”30秒以内であれば満足かな”と考える人もいれば、”1秒以上でも遅いよ”と感じる人もいます。
このように品質指標に人によってとらえ方が異なる言葉を用いてしまうと、いざ実装した際に品質の良し悪しを計ることも難しくます。この場合、「Web検索で検索ボタンを押下した時、1秒以内に遷移画面が表示される」と具体的な指標を定義することが重要です。
2.品質と検証
これまで「品質が良いとはどういった状態を指すのか」について述べてきましたが、検証とはどのような繋がりがあるのでしょうか。
1章の内容より「品質が良い」とは「顧客が満足する品質指標を満たしている状態」であるということがわかりました。しかし品質の状態を定義しただけでは、品質指標が満たされているかどうかはわかりません。
そこで検証とは何かと調べてみると、「実際に調べて証明すること」と広辞苑には記されています。
つまり、定めた品質指標を満たしているかどうかを調べて証明することで、「品質が良い」を担保することが可能となるのです。
3. まとめ
はじめの方にも書きましたが、ものづくりにおいて、品質の良し悪しは重要事項です。そしてその品質は製品やサービスだけでなく、それらにいたるプロセスでも重要になってきます。開発中のバグの頻出により、計画した開発期間を大幅に超えてはいませんか?製品は完成しリリースしたものの、不具合が多発してはいませんか?これは品質指標の定義に抜け・漏れがあるかもしれません。
検証サービス事業部では製品の品質はもちろん、豊富な実績を活用し開発プロセス段階から品質管理・改善のご提案もさせていただきます。
・品質とは「顧客の要求を満たし、顧客にとっての価値となるもの」
・価値観のずれは品質の良し悪しに影響するため具体的な品質指標の定義が必要
・品質指標を検証することで「品質が良い」ものづくりにつながる