ソフトウェア評価を成功させるためのテストチームづくり
高品質な製品を世に送り出すには、優れた開発者はもちろん、テストチームによる適切なテストが必要不可欠です。では、適切なテストを行えるチームとは、どのようなチームなのでしょうか。
1. テストチームにおける環境づくり
適切なテストを行うには、テストチーム内の環境が整っていることが大切です。ソフトウェアテストではアウトプットの品質や信頼性を高めることが、品質の高さにつながりますが、個人だけで高い品質を求めることは非常に困難であるからです。ここでは、テストチームの環境を整えるために必要な2点について、解説していきます。
① テストリーダーによるチーム環境のコントロール
近年まで、カリスマ性のあるチーム全体を引っ張っていくリーダーが求められてきましたが、一人の力でソフトウェアの品質を高めることはとても難しいです。品質を高めるためのテストを実施していくには、チーム一丸となって品質目標の達成に向かっていく必要があります。そのためには、チームメンバー全体が個々の業務に意義を見いだし、製品品質の向上に貢献しているという認識を持つ必要があります。そのためには、「メンバー全員の才能を活かす」「メンバーに自分の業務の責任を深く自覚させる」ことが必要です。
例えば、チームの業務内容全てをメンバーにも共有することで「メンバー各個人の業務がチーム全体の評価につながっている」ことを意識させることや、異なるタイプのメンバーでそれぞれの得意分野を活かした業務を行わせ、「個人の業務に価値がある」と認識させることなどが考えられます。そうしてチームで成果を出すことで、自分が所属するチームで活動すること自体がメンバーの意欲を引き出すことにつながるような環境を作成することが出来ます。
そのような環境をコミュニケーションや経験を元に作成出来るリーダーを立てることで、ソフトウェアテストを成功に導くテストチームをつくることが可能なのです。
② チームメンバーの選定
上記の様に、チーム環境をコントロールし作成出来るリーダーが必要なのはもちろんですが、テストリーダーだけが大勢いてもテストは進みません。メンバー構成によって、実施出来るチームコントロール方法の種類は違ってきます。コスト内でどのような人材がどれだけ確保できるか検討する必要があります。
品質目標に伴い、重視したい作業を得意とするタイプは多く配置し、与えられた業務をコツコツ進められるタイプ、探索的にツールを利用するのが得意なタイプ、新しいデバイスを使いこなすのが早いタイプなど、バランスよく採用することで、より効果的なテストを行えるチームを運営することが可能です。
2. チーム全体の能力を活かすテストプランニング
さて、チームメンバーやチーム運営が素晴らしくても、テストプランニングが上手くなければ、品質の高いソフトウェア評価にはつながりません。テストプランニングには、次のことを意識する必要があります。
1.開発工数を考慮する
開発工数が多ければ多いほど、作成されているコードも多くなります。そのため、テストに必要な工数も多くなることが予想されます。開発者側の業務スタイルにもよりますが、リスクを回避するには、開発者1名に対してテスター1名がつくことが理想です。しかし、とても多くのコストがかかります。開発メンバーともしっかりとコミュニケーションを取って、想定される作業工数やテスト以外に品質保証活動があるのか等を確認し、適切なアプローチ方法を選択してテストを行う必要があります。
2.作業期間は必ずしも予定どおりにはならない
開発スケジュールが押すことで、テスト期間が短くなることは多々あります。期間が短い場合は環境作成や対応に使える時間も不足するので、より多くの人員が必要になります。不測の事態に対応する準備もしっかりと行っておきましょう。
3.製品の品質目標を踏まえたプランニング
バグの少ないソフトウェアを開発するには、多くのコストと期間が必要になります。実際のコストと開発・テスト期間を考慮した「品質目標」を設定する必要があります。設定された「品質目標」を確保するために現実的な工数を算出し、テストチームに必要な人数を把握しておきましょう。
3. まとめ
テストチームを作る際は、テスト対象や開発にかかる情報をしっかり分析し、「品質目標」を満たせる条件を見定めることが必要です。さらに、チーム全体が「品質目標」の達成に向かって進んでいける環境を用意することが、対象プロジェクトの成功につながります。トーテックアメニティでは、チームリーダーたり得るメンバーを多く育て、コスト面を考慮しつつも、ベストチーム作成の実現を目指していきます。