デジタルトランスフォーメーション(DX)と検証①
経済産業省が「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~」を展開して以来、様々な企業がDX推進への取り組みに重点を置くようになってきています。
しかし、一部調査では、本格的なDXの取り組みを行っている企業は全体の約1割程度という調査結果も発表されています。
そもそも、「DX」とは何か。「DX」を推進する上での課題について、2回に分けて考えていきたいと思います。
1. デジタルトランスフォーメーション(DX)とは
デジタルトランスフォーメーション(以降、DXと記載)は、経済産業省が展開している「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」で、以下の定義がされています。
- 企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること
また、経済産業省では、DXの構造として、以下3つの段階を定義しています。
- デジタイゼーション(Digitization):アナログ・物理データのデジタルデータ化
- デジタライゼーション (Digitalization) :個別の業務・製造プロセスのデジタル化
- デジタルトランスフォーメーション (Digital Transformation) :組織横断/全体の業務・製造プロセスのデジタル化、 “顧客起点の価値創出”のための事業やビジネスモデルの変革
社会全体でデジタル化が進む中で、不可逆な変化に適応し、データとデジタル技術を駆使して新たな価値を産み出し、それらを介して他社・顧客とつながり、デジタル社会の実現に必要となる機能を社会にもたらすことが、各企業に求められています。
2. IT化とDXの違い
「DX」について語るときに用いられるキーワードとして「IT化」があります。「DX」と「IT化」は意味合いが違いますが、多くの人がその違いを理解せず、「DX = IT化」と誤った捉え方してしまい、企業の「DX」推進の弊害となることが多々あるようです。
「IT化」とは、生産性向上を目的とし、既存プロセスをデジタル化することです。
「DX」とは、データとデジタル技術を駆使して新たな価値を産み出すことであり、データやデジタル技術によって、製品やサービス、ビジネスモデルを変革することです。
つまり、「DX」とは企業が持つ既存情報・業務・技術をデジタル化した上で、更に新たな付加価値を提供する「目的」を示したものとなります。
3. DX推進のメリット
DX推進・活用により、企業に変革をもたらすことで、以下のようなメリットがあると考えられています。
- 既存システム刷新に伴う、業務効率向上および生産性向上
- 業務工程の可視化/分析に伴う、フロー見直しおよびコスト削減
- ビジネスモデル改革に伴う、新たなビジネスモデルの創出・市場競争力の確保
データとデジタル技術を活用し、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務・企業体制を変革することで、ビジネス環境の激しい変化に順応でき、市場競争上の優位性を確立出来ることが見込まれます。
4. まとめ
- ●「DX」とは、データとデジタル技術を駆使して新たな価値を産み出し、社会にもたらすことである。
- ●「DX」とは企業が持つ既存情報・業務・技術をデジタル化した上で、更に新たな付加価値を提供する「目的」である。
- ●「DX」の推進により、ビジネス環境の激しい変化に順応でき、市場競争上の優位性を確立出来る。