メタバースについて
メタバースとは何のこと?
1. メタバースとは
近頃ニュースで「メタバース」という単語をお聞きになる方も多いのではないでしょうか。
「メタバース」とは何を指すのでしょうか。
例の一つとして、経済産業省が2021年に公開した「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書」では「一つの仮想空間内において、様々な領域のサービスやコンテンツが生産者から消費者へと提供」されることを「メタバース」として仮定義しています。
ここで注目するのは仮定義ということです。
実は、現在「メタバース」がどういうものなのか、国の機関でもITの巨人たちGAFAMですら厳密な定義ができていません。
では「メタバース」という言葉はどこから出てきたのでしょうか。
① メタバースとはどんなものなのか
メタバース(metaverse)は、「meta(超越した)」と「宇宙(universe)」を組み合わせた造語で、もともとはSF作家ニール・スティーヴンスンの著作「スノウ・クラッシュ」(1992年刊)で登場しました。
作中では、仮想の三次元空間にVRヘッドセットでアクセスするサービスの名称として描かれています。
ちなみに、仮想空間においてユーザーの分身となる「アバター」という言葉も、この小説由来です。
では、この小説で描かれた「メタバース」が現在の「メタバース」と同義かというと、もちろんそうではありません。
現状では、仮想空間に構築された空間や提供されるサービス、それを通じてオンライン上でアバターを通じたユーザー同士の交流など、そこをもう一つの現実として実装されることを、メタバースとしています。
そしてそれは、再解釈されつつ、さまざまな定義として提案されつつあります。
「移住したゲームプレイヤーが住人達とコミュニケーションなどを通じて生活する」人気のゲームソフトがメタバースの一種であるとする説明をよくみかけます。
また、2006年ごろに話題となった「インターネット上の仮想空間に居住できるゲーム」も一例として取り上げられます。
ですが、メタバースという定義があいまいであり、共通の認識や実例が存在しない今、結局のところ「メタバース」とは何?という疑問に立ち返ってしまいます。
ちなみに、先にとりあげた経済産業省の「仮想空間の今後の可能性と諸課題に関する調査分析事業 報告書」で仮定義されたメタバースには前述の人気ゲームソフトは含まれないこととなります。
② メタバースはどうなるのか
Bloombergの記事によると、GAFAMのひとつである旧社名Facebookは、去る2021年10月28日にメタ・プラットフォームへと社名を変更しました。
これは、今後の成長が見込めるメタバースを開発の主軸に据えるためです。
このとき、メタバースという言葉が大きく注目されるようになりました。
Bloombergは、メタバース市場は2020年の4787億ドルから2024年には7833億ドルに拡大すると予測しています。
また、Gartnerは2026年までに人々の25%が仕事やショッピング、教育、エンターテイメントなどのために1日1時間以上メタバースで過ごすようになると予測しています。
ですが、メタ社ですら構想の段階であり、メタバースがどのように発展していくかは先が見えません。
2. まとめ
やや過熱気味とも思われるメタバース市場ですが、これによってメタバースの技術開発や具体的なコンテンツの整備は着実に進んでいくでしょう。
メタバースは、生活圏・経済を構成しつつ社会に浸透していく可能性から、世界中から脚光を浴びています。
もちろん、メタバース空間内でのルール作りなど課題も多くあります。
5年後、10年後、メタバースは私たちの生活の一部になっているかもしれません。