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Column 13

Excelに頼り切ったパワープレイからの脱却

検証業界に限らず、Excelが各種業務の管理や資料として使用されている現場は多いと思います。

進捗集計においては、マクロや関数を駆使したり、少しでもミスや手間を減らす努力をしたり、テストケースの作成の版数管理や更新作業にお悩みの方もいらっしゃると思います。
抱えている問題の大小はあっても、運用ルールを整備したり、Excel研修を受講させたりと、使い方を工夫することで課題を乗り越えようとしている状況を何度も目の当たりにしてきました。

しかし、そのどれもが根本的な解決に至ることは少なく、そもそもExcelを使用する必要性があるのかを疑問に感じることが多いです。

今回は、なぜExcelからの脱却が難しいのか、どうすれば変えていけるのかを考えてみました。

1. 検証においてExcelが担ってきた主な業務

  • テスト計画
  • 見積資料
  • テスト進捗管理
  • テスト設計の各種ドキュメント
  • テスト実施結果の集計
  • インシデント管理
  • 機材管理台帳

etc…

ほぼ全てのテストフェーズでExcelが使われているという印象の中、唯一インシデント管理ツールはJIRAやRedmine等がよく利用されています。
しかし、集計となるとCSVで出力してExcelで管理するという運用もよく見かけます。

ツールのレポート機能を使えば良いのでは、という疑問は誰しも抱いたことがあるのではないでしょうか?

① 先人たちの苦悩

Excelを使用していて不都合を感じた経験は誰しもあると思いますが、コピペをミスして意図しない項目を上書きしてしまった・関数が消された・罫線がおかしくなった、という話はよく耳にします。
他にも例を挙げればキリがないためここでは割愛しますが、不都合を感じる大半が、Excelを使用する側の習熟度が原因となっているように思われます。

そこで解決方法として、Excelをより理解させよう、運用方法や利用ルールを厳しくして人為的なミスを減らそう、という活動になるわけですが、どうにも明るい未来が見えてこない状況が続いています。
今もなお、無駄な工数が生まれてしまっているのが実情ではないか、と感じてしまいます。

② なぜExcel?

それでは、なぜExcelが導入されやすい傾向にあるのでしょうか?
例えば、以下のような点が考えられるのではないでしょうか。

  • ほぼ全ての企業がMicrosoft Officeを導入しており、ツールを新たに導入する必要がない
  • 既存の資料や運用がExcelに依存しているため、代替手段を取るのが面倒
  • 表計算ソフトでありながら、関数やマクロを駆使することで簡単な便利ツールとしても使用できる
  • 昔から使っているため、ついつい頼ってしまいがち

自由度が高いことはメリットではあります。ただ、過度に既存ツールに依存していないでしょうか?
適材適所から外れた運用になっているのであれば、思い切ってツールを見直すという判断も必要ではないかと考えます。

2. 低そうで高いハードル

上述したように、Excelというソフトは導入のハードルが低く、誰でも使えると認知されているため、敢えてコストをかけて別のツールを導入しようという結論に辿り着かないのも頷けます。
また、他にも別のツールを導入する阻害要因となっている様々な課題があるように思います。

  • 様々な専門ツールがあり、どのツールを使用すれば良いかの判断が困難
  • セキュリティや環境面の懸念
  • 人材、費用等コスト面の懸念
  • 信者による妨害工作

上記以外にも様々な要因があるとは思いますが、それぞれの課題に対してどう対応していくかを真剣に検討するには、それなりの人員や時間、費用を捻出していく必要性があります。
それ故に、踏み切れない企業やチームが多いのではないかと推察します。

① 代替ツール

インシデント管理ツールを利用している企業は昔から存在していて、業界内での浸透率も高いのでしょう。
それでは、テスト管理ツールや業務フロー作成ツールになるとどうでしょうか。

内製のツールを開発・活用している企業もある中、未だにExcelベースで諸々の業務を行っているという企業も多いのではないかと思います。

しかし、昨今は有償・無償問わず、有用なツールが日々開発・リリースされており、Excel運用が抱えている様々な課題を簡単に解決できる可能性を秘めたツールが選択できる時代になっています。
新たなツールを選択することで、今までの苦労が全て解決するとは言い切れませんが、選択肢が多くあるという認識だけは持っておくべきだと思います。

② 既存ツールでの代替

先に多くの企業がMicrosoft Officeを導入していることを述べました。
昨今は、コロナの影響もありMicrosoft Teams(以下、Teams)を活用している企業が増加傾向にあります。
チャットや会議といった基本的な使用方法とは別に、Plannerによるタスク管理・SharePointによるファイル共有・Teams上でのExcel/PowerPointの共同編集等、多様な利用方法があり、これまでとは異なる形での課題解決も可能になっています。

Excelブックの共有設定(※)を活用し、何かの拍子にブックが破損してしまった経験のある方は少なくないと思います。
ですが、Teams上で共同編集を行うことで、このようなトラブルはまず起こらなくなっています。
また、バージョン管理機能もあるため、ファイルを更新する毎に新しいブックを作成するという煩雑なファイル管理からも抜け出せます。
※現在はMicrosoft非推奨の機能

Plannerで機材管理を行うという大胆な手法を取り入れている現場もあり、工夫次第で色々できるのだなと関心したこともありました。

③ 決定権なのかも

結局のところ、ツールの入れ替えや新規の導入には、ある程度の決済権限なり発言権が必要になってきます。
このような権限を持った層に対してメリットやリスクを示していくことで、少しずつでも無駄を削る方向に進めていくという活動がなければ、企業やチームが変わっていくことも難しいのかもしれません。

3. まとめ

大前提に、昔は当たり前だったトラブルも、既存のツールで解決できてしまうことがあるため、一概にExcelの使用を推奨しない、という主張ではありません。

かく言う私も、Excel95の時代から利用しているツールであり、関数やピボット・VBAを覚えながら、どうすればミスが減るのか、全員が使い易いフォーマットなのか、そのようなことに時間を費やしてきた一人です。
しかしながら、未だにExcelから脱却できていないのが現状です。

ただ、使いどころや利用方法の工夫、ツールの変更も視野に入れながら、より良い未来を諦めない思考を持って行動することが肝要であると考えています。

この記事をご覧頂いた方の、変化をもたらす活動の一助になれば幸いです。

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