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テスト計画はなぜ必要か

皆さんはテストにとりかかる前に、テスト計画を実施していますか?
テスト計画を実施せず、いきなりテスト設計に取り掛かる現場は少なくありません。例えば、小規模のプロジェクトで影響範囲が限定されていることを把握している場合などは、テスト計画の工程を省略しても問題ないことがあります。
しかし、テスト計画をしっかり行っていないプロジェクトでは、スコープが定まらずテスト範囲が膨大になってしまったり、テストの目的が曖昧で効果の低いテストを実施してしまったり、という事態が発生する可能性があります。
今回は、効果的なテストを実施するために必要な「テスト計画」について解説します。

1.テスト計画とは

テスト計画は、その名称からスケジュールに限定した活動と捉えられることがあります。しかし、スケジュールはテスト計画の中の一要素にすぎません。 テスト計画とは、「テストの目的と範囲を明確にし、目的を達成するためにどのようなアプローチでテストするかを検討すること」です。

テスト計画では、作業成果物としてテスト計画書を作成し、以下のような内容を記載します。
 ・テストの目的
 ・テスト対象の範囲
 ・どのようなアプローチでテストするのか
 ・設備や環境・人員など必要なリソース
 ・スケジュール
 ・テスト作業の内容
 ・使用するテスト技法
 ・リスクと対策
 ・テストの合否判定基準

2.テスト計画の目的

ここでは、テスト計画で検討する事項及びテスト計画書に記載する内容のうち、代表的なものに絞って解説します。

①漏れのないテストを実施する

テスト計画をしっかりと作成しなかった場合、テスト設計フェーズでテストの目的に沿わない試験項目を作成してしまい、不具合を取りこぼしてしまうという事態が発生する可能性があります。 最悪の場合、市場リリース後に不具合が発覚してしまい、低品質なソフトウェアという評価を受けてしまいます。

例として、新機能搭載カメラが売りのスマートフォンの試験について考えてみます。
この製品の売りはカメラなので、当然、試験ではカメラ機能の確認を重点的に実施するべきです。 しかし、テスト計画がなければ、どこかで「カメラが売り」という情報が落ち、別の試験に割く工数が増え、カメラ機能の試験に割く工数が減ってしまうかもしれません。 その結果、カメラ機能に対して十分な試験ができず、市場リリース後に売りの機能で不具合が発覚してしまうという事態が起きかねません。
テスト計画では、このような事態が発生しないためにテストの目的や内容をテスト計画書に明記し、後工程でテストの方向性がぶれたり、テストすべき内容が漏れたりすることを防ぎます。

②プロジェクトリスクを低減させる

テスト計画ではプロジェクトリスクを想定し、リスクが顕在化することの防止や、顕在化してしまった際の対応を検討します。これらをテスト実行の開始前に検討しておくことで、不測の事態に備えることができます。

イメージしやすいリスクとして、人手不足があげられます。
例えば、プロジェクトメンバーの1人が大病を患ってしまった、あるいは事故に遭ってしまったなどの理由により人手不足が発生した場合、メンバーが急に欠けてしまうことによる進捗遅れはもちろんのこと、 業務の引継ぎもできていないことによって、通常業務にも支障をきたす可能性があります。そのような不測の事態が起きた場合でも、日頃から業務を進めるためのドキュメントを整理しておくといった活動により、被害を最小限に抑えることができます。
このように、リスクを洗い出し予防策を講じることも、テスト計画の重要な活動です。

3.まとめ

今回はテスト計画とその目的について解説しました。
ソフトウェア開発におけるテスト工程の役割は「品質を高めること」です。じっくり時間をかけてテストをすれば、品質のよいソフトウェアを作り出すことは可能です。 しかし、プロジェクトには期日があります。プロジェクト開始時点で、製品のリリース日が決まっていることがほとんどです。その決められた期間内で効果的で効率的なテストを実施し、 テスト工程の役割を果たすために必要なのがテスト計画であるといえます。
弊社はお客様のニーズや懸念点に寄り添うテスト計画が可能です。テスト計画の導入について興味がございましたら、お気軽にご相談ください。

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